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カド建のよもやま話~色彩ガイドライン~

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皆さんこんにちは!

カド建株式会社、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~色彩ガイドライン~

ということで、

今回は、塗装業において重要な役割を果たす「色彩ガイドライン」について深く掘り下げてご紹介します。

建物の外壁や屋根に使われる色は、その建物だけの問題ではありません。町の景観、文化、そして暮らす人々の感覚にまで影響を与えるものなのです。

そうした公共性と調和性を重視するために、多くの自治体や地域団体では「色彩ガイドライン」が設けられています。これは、美しいまち並みを守り、持続可能な景観をつくるためのルールと知恵なのです。


色彩ガイドラインとは?

色彩ガイドラインとは、建物の外装(外壁・屋根など)に使用する色やデザインに関して、地域ごとの景観調和や美観保護を目的として定められた指針・基準です。

制定主体:

  • 都道府県や市町村(例:京都市、鎌倉市、金沢市など)

  • 再開発地域や住宅団地の管理組合

  • 景観重点地区や歴史的建造物周辺の特別区域

法的拘束力がある「条例」に基づくものもあれば、推奨ベースの「指針」「設計ガイドライン」形式のものもあります。


ガイドラインが重視される背景

なぜ色にルールが必要なのか?

  1. 景観の統一性を保つ

    • 無秩序な色使いが広がると、落ち着きのない街並みや違和感のある建物が増加

    • 統一感のある色彩設計は、住む人にも訪れる人にも安心感を与える

  2. 歴史的・文化的景観の保全

    • 神社仏閣、古民家、城郭などの周辺では、伝統的な色合いや素材との調和が重視

    • 明るすぎる色、金属調・蛍光色などは景観破壊と見なされることも

  3. 観光資源や不動産価値の保護

    • 観光地では「写真映え」「落ち着いた雰囲気」が大きな資産

    • 景観が美しい地域は、不動産価値の維持・上昇にもつながる


ガイドラインで定められる内容の一例

項目 内容
色相 周囲と調和する自然色(ベージュ、ブラウン、グレーなど)推奨
彩度 派手な原色・高彩度色は禁止または制限
明度 白すぎる・黒すぎる色は避けるよう指導される場合あり
光沢 ツヤありは禁止、マット仕上げを推奨
屋根材・外壁材の素材感 地元の伝統素材(瓦、漆喰、木材風)との調和重視
看板・装飾 店舗などでは外装にあわせた控えめな配色が求められる

実例:地域ごとのガイドライン

  • 京都市:「屋根は伝統色に限る」「外壁は落ち着いた中間色で」

  • 鎌倉市:神社仏閣周辺での色調・明度制限あり

  • 金沢市:「ひがし茶屋街」などの歴史的景観保全区域では色彩審査が必要

  • 東京・武蔵野市:再開発地区での景観計画協議が義務化

地域の“らしさ”を大切にするため、自由な色選びではなく、文化的対話が求められます。


塗装業者としての対応と責任

施工前に確認すべきこと:

  1. その地域に色彩ガイドラインがあるか

  2. 申請・届出が必要か(景観条例に基づく協議)

  3. 既存の建物とのバランスを考慮しているか

  4. 施主にガイドラインの存在を説明しているか

塗装業者は、ただ“色を塗る”のではなく、**地域と調和した「街の設計者の一部」**としての意識が求められます。


ガイドラインと住民・施主のすれ違い

よくあるギャップ:

  • 「もっと目立つ色にしたい」「個性的なデザインにしたい」という希望

  • しかし、地域のルールで彩度や色相が制限される

  • 一部地域では「外壁を塗るたびに申請が必要」と知らずトラブルに

このような場面では、事前にガイドラインを説明し、納得の上で色選びをサポートすることが大切です。


今後の課題と展望

ガイドラインの標準化とわかりやすさ

  • 地域ごとに基準が異なるため、専門家以外には理解しにくい

  • カラーチャートやデジタルツールによる「色選びの見える化」が必要

デザインと景観の共存

  • 一律に「目立たない色」を推奨するだけでは、個性や創造性を奪うリスク

  • 地域の景観と現代のデザイン感覚を対話的に調整できる枠組みが求められている


おわりに──「塗ること」は、街と文化をつなぐこと

色彩ガイドラインは、「美観の押し付け」ではありません。それは、地域の記憶と未来を守るための“色の言葉”です。

 あなたが選ぶ色が、

その街の空気や景観を、10年後も支えているかもしれない。

塗装業におけるカラー選定は、技術とセンス、そして地域との調和が試される仕事です。美しく、そして意味のある一色を、プロとしてご提案していきましょう。

お問い合わせはこちら↓

カド建株式会社 

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